急いで食事をした時に食べ物がのどに詰まったり、むせたりした経験は皆さんありませんか。
こうした症状を何度も繰り返したり、食事のたびに食べ物が飲みこみにくいと感じるようなら嚥下障害の可能性が考えられます。
嚥下障害というのは、「飲みこみの力」が弱くなった状態です。最近は、高齢者だけでなく、若い人の中にも悪い姿勢の習慣から「飲みこみ力」の低下を招き、のどの不快感を訴える人が増えてきているそうです。
私たちは、飲みこむといった動作を無意識のうちに行っています。この動作は、様々な器官がタイミングよく動いて成立しています。
「ごくん」と飲みこんだ時に、喉頭がななめ上に持ち上がり、食道の入り口が開きます。この時、喉頭蓋というふたのような役割をする部分がぱたんと倒れて、気管の入り口をふさぎます。この一連の動作が、正常な人であれば、0.3~0.5秒という短い時間で起こります。
「飲みこみ力」の弱くなる原因として4つのことが言われます。
喉頭の位置が下がるので、のどの空間が広くなり、気管を閉鎖する機能が悪くなるため、食道に食べ物を送り込むのに強い力が必要となります。かえって飲みこみにくくなります。
舌の動きが悪くなると食べ物を飲みこみやすい形に整えられなくなります。また、舌の上に食べ物がのらず、のどの奥に運べなくなります。
食べ物の位置がわかりにくくなるので、喉頭と舌を動かすタイミングがずれてきます。
喉頭が持ち上がりにくくなると、食道の入り口がうまく開閉できず、少しずつしか食道に飲食物が通らなくなります。
今は、ちゃんと食べれるから安心と思っていませんか。「飲みこみ力」は、年齢とともに気づかないうちに少しずつ弱くなってきます。
嚥下障害かどうかを判断できる簡単な検査があります。その1つに反復唾液嚥下テストがあります。
唾液の飲みこみを繰り返して、30秒間で何回できるかを調べます。
テスト結果は、いかがでしたか。
人は、1日に約1000回も飲みこみの動作を行っているといいますが、無意識のうちに行っているので、「飲みこみ力」が弱くなっても、なかなか自分で気づけない状況にあります。今の状況を知るところから予防は始まってきます。
口から食道に入るべき水や食べ物・唾液が気管に入ってしまうことを誤嚥と言います。誤嚥によって、細菌が増殖して炎症を起こすことで生じる肺炎を誤嚥性肺炎といいます。
肺炎で亡くなった方の97%以上が65歳以上の高齢者が占め、70歳以上の高齢者の肺炎では70%以上が誤嚥性肺炎であると言われています。また、不慮の事故で最も多い種別が窒息です。
交通事故死亡者数の約2倍の方が窒息で亡くなっています。さらに、その死亡者の8割以上は、「飲みこみ力」が弱くなった65歳以上の高齢者です。急激に進んでいる高齢化の状況の中で、健康寿命を延ばすうえで嚥下障害の予防は大切になってきています。
飲みこみ動作をスムーズに行うためには、口やその周りの筋肉の機能も重要な役割をはたしています。これらは、いずれも放っておくと年齢とともに機能が低下してくるものばかりです。
機能の低下に歯止めをかけ、機能の維持・回復ができる体操をご紹介します。
ぜひ、楽しみながらとり組んでみてください。笑顔で食事を美味しく頂けるためにも、できる範囲で毎日続けることをお勧めします。
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