寝たきりや、要介護状態となった原因の多くは、脳血管疾患や認知症ですが、関節疾患や骨折・転倒が原因となっている場合も多いです。特に女性の場合は、両者の合計が第1位となり、その背景には骨粗しょう症があります。
日本は世界一の長寿国であり、高齢化がさらに進行しています。長い老後を自立した生活で送れるか、寝たきりで過ごすかは大きな違いです。より健康で自立した老後生活を送るために、骨粗しょう症予防を心掛けていきましょう。
骨粗しょう症を漢字で書くと「骨粗鬆症」で、その漢字の通り「骨が粗くなり、まるで鬆(す)が入った」ようになる症状です。鬆とは、旬を過ぎた大根などに小さな穴がたくさん空いて、スカスカになる状態のことです。それと同じようなことが骨の内部で起こるのが骨粗しょう症で、骨折しやすくなる病気です。
骨粗しょう症予防の基本は、食事と運動です。
※カルシウム
…慢性的なカルシウム不足は、骨粗しょう症の最大の原因となります。カルシウムが豊富に含まれる食品としては、牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品、豆腐や納豆などの大豆食品、小魚、海藻などがあります。
カルシウムの吸収率には食品ごとに違いがあり、牛乳・乳製品では50%、小魚では30%、野菜は20%と言われています。
日本人は、全年代をとおしてカルシウム摂取量が不足していると言われており1日あたり+200mgのカルシウムを摂ることが推奨されています。
毎日、コップ1杯(200cc)の牛乳を飲めばそれだけで約220mgのカルシウムが補給できます。効率よく、カルシウムを摂取していきたいですね。
※ビタミンD
…小腸でのカルシウムの吸収を高める働きや、カルシウムの骨への沈着を助ける働きがあります。ビタミンDを多く含む食品は、イワシ、サンマ、鮭などの魚、干しシイタケやきくらげなどのきのこ類がおすすめです。
ビタミンDは、このように食べ物からとりいれますが、その80%は日にあたることで体内で合成されます。1日に必要な量のビタミンDを合成するには、顔や肘から先の腕を15分くらい日光にさらすだけでOKです。
また、他にもたんぱく質、ビタミンK、マグネシウム、亜鉛などの栄養素も骨を作る為に必要な栄養素です。あらゆる食品をバランスよくとることが重要です。
さらに、ファーストフードや加工食品など、リンや食塩が多いものはカルシウムの吸収を損ねたり、体外への排出を促したりするので、なるべく控えるようにしましょう。
成長盛りの子供たちの好む、スナック菓子や清涼飲料水にも、多量のリンが含まれています。食べ過ぎにはご注意を。
運動によって骨に負荷がかかると、骨を作る骨芽細胞が活発に働き出し、骨をより丈夫で強いものにつくり替えていきます。骨芽細胞が働き続けるよう、軽くても骨に負荷のかかる運動を続けることが大事です。
ある研究によると、下肢筋力訓練を行うことによって、大腿骨近位部(脚の付け根の骨)の骨密度が1.03%、腰椎(腰の骨)の骨密度が3.22%上昇したということが報告されています。
※かかと落とし
他にも、階段を一段昇っては降りる、を繰り返す階段昇降運動や、ウォーキングがおすすめです。ウォーキングは、着地するときはかかとからつけるようにすること、つま先で地面をけりながら進むことを意識して行いましょう。
現在の自分の骨密度を知っておくことが骨粗しょう症の予防には重要です。
特に女性は、女性ホルモン分泌の低下から、50歳くらいから急激に骨密度が低下していきます。
身長が若い時から3cm以上低くなっていると、骨粗しょう症の疑いも出てくると言われています。いつの間にか骨折(圧迫骨折)の防止、早期発見の為にも一度検査を受けられることをおすすめします。
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